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【09.10.15】【中国の環境学習会】「中国の環境規制と被害者救済」について 常任理事・石原洋一
「中国の環境規制と被害者救済」について 常任理事・石原洋一
10月4日(日)講師に名大大学院国際開発研究科・助教 櫻井次郎氏迎えて初の中国環境問題の学習会を日中友好協会愛知県連と中部の環境を考える会の共催で開催した。
参加者は約20名で、県連副理事長の溝口さんと中部の環境を考える会の代表宇佐見さんが挨拶した。
まず中国共産党の環境問題に対する姿勢の変化は、第11次5ヵ年計画(2006〜10年の5カ年計画)でGDP成長率を7.5%にするとしながらも・エネルギー単位消費量の20%低減・主要汚染物質(水におけるCOD=化学的酸素要求量、大気におけるSOx=硫黄酸化物)の10%削減を拘束性のある指標として決定した。00年の「大気汚染防治法」に硫黄酸化物の排出が基準を超えた場合罰金と措置命令を明記し、08年は「水汚染防治法」が改正され汚染物質濃度が基準を超えた場合罰金と措置命令が明記された。
しかしながら大気の環境基準をクリアしているのは99年の33.1%から、06年には56.6%の都市が達成と改善している。43・4%の都市が環境基準が未達成で深刻。また、河川の水質の汚染はいっそう深刻で、7大水系(長江、黄河、珠江、松花江、ワイ河、海河、遼河)における412箇所の測定局において飲用可の個所は45・6%にすぎず、測定局の54・4%が基準を満たしていない。
特に櫻井先生が調査した河南省のワイ河流域は、(貧困県・生活のための売血でエイズが流行)灌漑用水まで汚染され、低層井戸水の汚染はにおい、色もひどい。ガンが多発し2600人の村で110人がガンで死去という例もあり、不安が高まっており、また多くの患者は治療費による多額の借金を抱えている。
中国でも農民1721名が原告となり国有化学工場を被告として公害被害者訴訟を起こし、1審、2審とも差止請求認容、損害賠償支払い命令を勝ち取っても、廃棄物の不法投棄期限を明示した処理命令にもなかなか従っていない。CCTVなどが報道すると、その村のみが改善されるという事実がある。重金属などが垂れ流され地下水を通じて住民が飲んで「がんの村」が発生している深刻な事態も許されている現実を知りました。
今回の学習会で、私たちの活動も先を急がず現地の要求を具体的に掴み、何が具体的に支援できるかを知ることから始めることを指摘をされました。
「中国の環境専門チーム」には、櫻井先生も協力すると明言され、終了後開いた懇親会では、もっと多くの話を聞き交流が出来ました。これからが出発です。