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講演『一帯一路について』

わかりやすいお話

 11月30日(土)午後2時から4時まで稲沢市勤労福祉会館で、王家元氏(名古屋大学経済研究科博士課程)の講演『一帯一路について』が行われました。昨年好評だった中国の経済事情に続いて、今世界の多くの関心を集めている『一帯一路について』についてのお話でしたので、行事が多く重なったにもかかわらず14人の参加があり、質問も多く出て盛況でした。
以下、その講演概要等です。

 「一帯一路」の概要

   一帯一路の概要。一帯一路とは「シルクロード経済ベルトと21世紀海洋シルクロード」という習近平国家主席により提唱され発足した経済圏構想です。開始時期は2015年。40余の国をカバーし、合計人口は43億人(大部分を中国とインドで占める)、世界人口の6%を占め、合計GDPは20兆米ドル、世界全体の29%を占めています。参加及び協力国は2018年末で122カ国を数え、金融組織としてアジアインフラ投資銀行(AIIB)が存在します。
 歴史的背景として いわゆるシルクロードがある。古代の中国からヨーロッパ・アフリカを結ぶ貿易ルートであり、東西の政治・文化の交流ルートです。

2013年9月に習近平主席が初めて提唱

 現代の背景として 2008年のリーマンショック後の景気の落込みを回避するために中国政府が打ち出した「4万億プロジェクト」(4万億元、大規模な公共投資)があります。中国全国で高速鉄道を中心としたインフラ建設を行いました。結果として高い経済成長率を維持できたが、過剰生産が問題となります。そこで、インフラ需要が大きくても貧しいアジア諸国に注目し、中国の安全保障等等の観点からも、一帯一路が提唱されました。
 2013年9月に習近平主席が初めて提唱し、翌2014年11月の北京で行われたアジア太平洋経済協力首脳会議で正式に経済圏構想を発表。2015年3月28日、『シルクロード経済ベルトと21世紀海上シルクロードの共同建設推進のビジョンと行動』が発表され、本格的に発足しました。
「一帯」は、中国西部から中央アジアを経由してヨーロッパにつながる「シルクロード経済ベルト」。「一路」は、中国沿岸部から東南アジア、インド、アラビア半島沿岸部、アフリカ東海岸を結ぶ「21世紀海上シルクロード」を指します。
 一帯一路の沿岸諸国の経済不足を補うために、金融システムを整備 アジアインフラ投資銀行と新開発銀行に協力を求め、更にシルクロード基金が設立されました。目標とするのは、インフラ投資の拡大、中国から発展途上国への経済協力、人民元の国際化、ユーラシアを中心とする新たな協力体制の確立です。
 陸上の「一帯」シルクロード経済圏では、物流網の整備(鉄道)が行われ、主に3つの鉄道ルート(アジア横断鉄道)があり、将来的に高速鉄道にシフトしていく構想もあります。
 1、シベリア鉄道:ロシア・ウラジオストク〜オランダ・ロッテルダム港の全長13,000辧
 2、新ユーラシア・ランドブリッジ:中国・江蘇省連雲港〜カザフスタン〜ロシア〜ベラルーシ〜  ポーランド〜ドイツ〜オランダ・ロッテルダム港の全長10,800辧
 3、計画中のユーラシア・ランドブリッジ:中国・広東省深圳〜雲南省昆明〜ミャンマー〜バング  ラデシュ〜インド〜パキスタン〜トルコ〜東欧〜中欧〜オランダ・ロッテルダム港の全長15,000  辧
 鉄道を整備する効果は、主として、〕∩時間の短縮、海運に比べ輸送費が安い、C羚颪硫畩蠕源困鮠暖颪任る、ぁ中央アジアへの影響力を拡大する、というものです。
一帯一路の戦略として5つの「互連互通」(相互接続)が挙げられています。
 1、政策面でのコミュニケーションを図る。(目的は影響力の拡大か)
 2、道路の相互運行を行う。(輸送の円滑化を目指しているものか)
 3、貿易の円滑化を図る。(輸出の円滑化を目指すものか)
 4、通貨の流通を強化する。(人民元の国際化、基軸通貨を目指すものか)
 5、国民の心を互いに通い合わせる。(親中国派の拡大を目指すものか)
 中国の小平氏が進めた「改革開放」は、国内を中心としたもので外からの導入がメインであり、「特色ある社会主義市場経済」を主張し先進国を見て行われてきたが、「一帯一路」は対外政策であり、対外投資「走出去」がメインです。これまでにない多元化国際協力パターンの「地域統合」を主張し、新興市場をメインターゲットにして、中国の国際的影響力を強めていこうというものです。経済外交は、年々対外投資が増加し経済支援は更に増加していっています。2002年から2017年では経済支援の額は10倍以上になっています。

日本政府は2017年6月に協力姿勢を表明

 日本政府は2017年6月に協力姿勢を表明し 2017年11月の日中首脳会談で「第三国市場に於ける日中民間協力」を推進する方針で合意しました。韓国・釜山港を通じて鉄道で中央アジアとヨーロッパまでつながり、陸上輸送で貿易を行う可能性、新たなFTAの形成、日中企業レベルの強力を期待するものですが、民間協力であり、北朝鮮が存在する以上、鉄道でヨーロッパまでつながることはできません。
 一帯一路の問題点は主に3つ。
  1、鉄道の整備に「標準軌道」の問題。中国からオランダ・ロッテルダム港まで同じ幅の軌道で   はないので、途中で荷を別の台車に積みなおさなければなりません。国によって整備状況に差   があります。
  2、「債務の罠」問題。貧しい国のインフラ整備への経済支援が多額です。お金を貸す⇒インフ   ラ整 備をする。⇒整備を請け負うのは中国企業。中国鉄道、国有企業であり、お金は中国政   府に還流します。経済支援を受けた国には借金が残ることになります。
  3、アメリカとの関係。アメリカとの関係が悪化すると中国の経済に悪影響を及ぼします。
 一帯一路は債務の罠と呼ばれる問題が存在するものの、長期的には後発国の経済成長の基となるインフラを整備することによって「互連互通」というのは間違いではないと思います。ただ、急激に推し進めているため反動も大きくなるのではないでしょうか。

        家田ゆかり

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