− 県連・支部だより
第34回大会議案
はじめに
今年は日中友好協会名古屋支部結成60周年、同愛知県連合会結成50周年の節目の年である。この半世紀にわたるわれわれの努力にもかかわらず、現在、尖閣問題・歴史問題をめぐって日中関係は国交正常化以来最悪ともいえる状態にある。中国の経済的・軍事的大国化に対して、日本政府は「秘密保護法」や「集団的自衛権」をもって日本の軍国主義化を進め「日中新冷戦」の始まりとさえいわれ、これにオバマ政権の「アジア回帰」が加わって、北東アジアは軍事的緊張状態にある。
こうした中で、いわゆる草の根の友好運動がどのような意味を持ち、役割を果たせるかが問われている。一つひとつの運動・活動の内容を県連組織の中で広げつつ、協会が全国組織である優位性を大切にし、他県連の成果にも学びながら、さまざまな交流・協力の実例を生み出すことが重要である。
不再戦・平和の活動
日中友好運動の原点は、両国民が相互に理解・尊重しあい、二度と戦争しないことにある。しかしながら、2年前の河村名古屋市長の南京虐殺否定発言や尖閣諸島問題の紛争に見られるように、今や日中両国民の間には相互不信と非友好の風潮がある。日本国民として反省すべきは、憲法九条があるにも関わらず、過去の侵略戦争を正当化し、靖国参拝を繰り返し、偏狭な民族主義を煽り、憲法改悪に突き進んでいる自民党型政治を長年許していることである。
昨年7月、池辺晋一郎氏など著名人10氏の「平和的な話し合いを通じて尖閣問題の平和的解決を」の呼びかけに応えて、日中友好協会は全国的に賛同署名に取り組んだ。わが愛知県連も目標の1000名を突破し、現在1300名の賛同を得ている。尖閣問題で決して戦争してはならない。その世論を喚起するため、今後もこの賛同署名に取り組んでいく。
20余年の歴史を持つ「あいち・平和のための戦争展」が、8月9〜12日、名古屋市公会堂で開かれる。今年は南京民間抗日博物館から呉館長とともに中国側のTV記者、新聞記者も来日し、記者会見と写真展示が行われる。また、15年にわたる中国侵略を引き起こした日本政府と陸軍の謀略と安倍政権の機密保護法を関連づけた資料を展示する。
一昨年7月7日、愛知県連も参加して河村市長「南京虐殺否定発言」を撤回させる会が結成され、河村市長に「発言」撤回と断絶した名古屋・南京友好都市関係の復活の運動は続けられている。結成2周年を記念して、新野和暢氏の講演会「15年戦争期の宗教と国家 皇道仏教と大陸布教」が予定されている。反戦・平和のために、いま日中友好運動の意義は大きい。
中国の政府機関・民間組織との交流促進
中国政府関係機関との交流としては、県連はまず,吉林省対外文化交流中心や偽満皇宮博物院との交流を維持発展させねばならない。さらに、門戸が開かれている吉林省档案館(以下、公文書館)、吉林省社会科学院との交流も具体化しなければならない。今年も博物院に「張作霖爆殺」をテーマに展示と講演を依頼している。
吉林省公文書館は最近、重要史料『鉄証如山』を公開した。このほかにわれわれの知る重要文献史料がある。歴史関係者や協会地方組織との共同で、歴史認識の基礎的史料を入手し、学習に役立てる方法を探究する。
また、前述のように今年は、南京から民間抗日戦争博物館の「南京大虐殺史料」が送られ、戦争展で展示するとともに、われわれと交流する。中国の民間機関との交流はかつてないことであり、重視して取り組む。
中国人強制連行問題の新たな展開めざして
昨年9月、第5回追悼式典に遺族らを招待して行い、それに先駆けて岩田地崎建設本社交渉、北海道調査と交流を実施した。さらに全国連絡会の発足とそれへの参加、「報告書改訂版」の作成、「大きなテント」・ニュース2号の発行、4月13日の第2回「支援する会総会」を50名の参加で成功させた。
注目すべきはこの4月から中国での動きの急展開である。日本企業に対して数カ所で集団訴訟が始まり韓国での動きとの関連で私たちの取り組みが国民の中に入りやすい状況が生まれている。こうした中でニュース3号を活用し、支援する会の会員拡大をすすめるために、多くの団体・個人に働きかけることが重要である。あいち戦争展での特別報告会の企画、9月13日の第6回追悼式典の成功などをとおして県民へ訴え、全国の取り組みと連携して国と企業に対して解決を迫る運動を強める。
学習と講演会などの活動
『日本の近現代史を読む』(新日本出版社)をテキストにした学習を定期的に開いてきた。その中で尖閣の領土問題にも触れ『これならわかる日本の領土問題』の学習会も行い、今年3月で同テキストの学習は完了した。その後は、戦争展に向けた学習会となっている。本年は大きな学習会の企画が取り組めず、第34回県連大会の午前中に、「緊迫する日中関係をどう打開するか 東北アジアの平和構築を求めて」と題して、末浪靖司氏(日中友好協会全国常任理事・日本平和委員会理事・ジャーナリスト会議会員)の講演を企画し、民主団体にも呼びかけて開催する。
また、在日中国人の学者・研究者の協力を得るなどして、話し合い・交流の場をつくっていく。
北京風来京劇団公演に700名が参加、大きな反響よぶ
2008年以来5年ぶり、2回目の公演を実行委員会のもとに愛知県、名古屋市、中日新聞、愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会の後援も得て11月18日、名古屋市公会堂で月曜日の夜という悪条件にもかかわらず700名の参加で成功させた。これは公共施設にチラシを置くなど、4万枚のチラシの活用と「京劇ニュース」を3号まで出し、会員はじめ民主団体に訴えて協力を得た結果である。
参加者のアンケートの回答率は2割に達し、更に自由筆記に記入されたのは33名もあり、今後の公演に大いに参考になる。初回公演に続き黒字で終え、備蓄を増やすことができた。
中国旅行
8月に行った「東寧要塞とハルビン。長春の旅」は14人の参加で、初めて方正県の満蒙開拓団残留孤児の公墓を訪問できた。 3月に行った台湾旅行は県連としては初めての企画であったが、県内だけでなく、岐阜、長野、福岡などからの参加を得て、27名の参加で成功させることができた。100年にわたる日本の植民地時代の本質から近現代史を学ぶ企画は参加者の期待に叶った。
中国語短期留学
2009年から連続して毎年8月に行ってきた北京第二外国語大学留学も今年で6年目になる。毎年12人から15人の参加者で実行している。今までの参加者は県内をはじめ北海道、宮城、山形、東京、岐阜、大阪、宮崎からである。今年は沖縄からも参加申し込みがある。
北京二外との信頼関係も深まってきている。特に、今日のような厳しい状況の中でも続けることが草の根の交流を強く推し進める力になっている。
中国語を学ぶことや中国に語学留学することは、単に語学の学習にとどまらずその国の人々と交流することによって、文化を知り、歴史を知り、生活習慣を知り、何よりも心が通じ合える。この間の参加者は中国の友人ができ、北京二外を自分の母校のように思えるようになった。それと同時に二外からの留学生たちを温かく迎え、愛知でも交流が広がっている。
日中文化教室
中国語教室
昨年の大会議案でも指摘されていた中国語教室の再建が課題となったが、「中国語教室運営委員会」などの体制を取ることができなかった。2コースで最小限の人数で運営していたのが、1コースに減少した。早急に対策委員会を設けて、「地の利」を生かした中国語教室の再建課題に取り組む必要がある。財政活動としても大きなプラスになるように位置づけたい。
他に、豊田支部の「中国語勉強会」が2クラス、緑支部で1クラス運営している。また、「ホットブックス新栄」との共催で3クラス運営している。
中国茶友会
毎月1回の茶友会を開催してきた。姜力(ジャン・リー)先生のもと中国茶の奥深さを味わっている。中国茶の根強いフアンもあり、昨年には6〜7人が毎回参加する盛況であったが、今年になってからは3人前後と財政的にも苦しい状況が続いている。担当者を決めて参加者との交流も含め、中国茶の魅力を広げられるような体制をとる必要がある。
囲碁教室
11年2月から愛知県年金者組合と共催で月1回(第3火曜)開催し、6月で48回となる。最近は女性の愛好家も参加して毎回7〜8人の参加となり、熱心に対局しているが「年金者組合任せ」になっている。当初は、日中の古い会員も参加していたが高齢で参加がなくなっている。日中の囲碁教室らしく参加者を増やしていく課題が引き続き求められている。
太極拳活動
現在、愛知県連での太極拳活動と受講者の期待に応えていくためには、新たな教室開催をするためにも、長期間の研修が必要な指導員の養成が切実に求められている。
太極拳教室は、シルクロード(名古屋北部)支部主催の6教室、緑支部主催の1教室で開催しているが、減少傾向を止められずにいる。宣伝は引き続き強められている。他にサークルやクラブへの派遣をして13教室を開いている。日中情勢の影響が少ないといわれる市民に太極拳を広く普及することが求められている。
きりえ
愛知きりえの会は、2013年10月16〜20日「第37回愛知きりえ展」を県連と共催で名古屋市博物館で開催し、1000名余の入場者があった。
会員の交流紙「きりえ」を年に3回発行した。スケッチ会、合評会などにも取り組み、第46
回全国きりえコンクールには12名23点が入賞した。
2014年度は10月15〜19日「第38回愛知きりえ展」を催の予定である。
帰国者支援
中国『残留孤児』の「配偶者の支援法」が昨年末の国会で成立した。われわれは配偶者の生活保障を実現するために「法律改正」を求める10万署名を全国的に取り組み、愛知では、4677名署名を集め法律成立に貢献した。
ひきつずき中国帰国者との交流の強化が求められているなかで、これまで手が付けられてきていなかったが、緑支部と協力して手がかりを見つけるようにしたい。
600名の仲間を実現し日中友好の運動の飛躍を
この1年間、仲間づくりは全体として会員が○○人増え○○人減、特別会員 ○人の減、団体会員 ○人減 準会員が○○人増で○○人減、合計で○○人の減となった。 一昨年の62回大会まで8年間連続増勢できたが、残念ながら死亡、高齢・病気、経済的な理由などの他、南準備支部での会員○人、準会員が○○人の減が大きい。
先進支部は、総会と役員会議、事務局会議を重視し多彩な行事、日中関係の情勢討議や学習、支部ニュースの発行を定期的に行って、会費も分担を決め、結びつきを大切にして滞納をつくらない5原則の活動が教訓的である。大きく前進していくためには、国民の関心がある今日の日中間の問題はじめ北東アジア情勢などの学習をし、現在の日中友好運動と意義について認識を深め、県連役員、支部役員がそろって奮闘すること、何よりも支部づくりへの挑戦に意欲的に取り組むことにかかっている。次期大会までに再建支部、新支部結成、準備支部など複数以上めざして、○○○名の目標へ挑戦する。
青年部確立めざして・・・若者の要求、学びたい、交流したいなどに応えて今年も留学生との交流会、花見会などを企画して在日中国人との交流も楽しく行い、そのつながりを生かして青年部創設をめざす。
県連版の定期発行の保障とホームページの充実
毎月2回を基本に発行をめざしてきたが、月1回の場合が多くなった。県連全体の活動の情報交換の手段として重要であるとの位置づけをしてきたが、内容を充実させるために県内のいろいろな取り組みの情報を収集する体制を強化する必要がある。制作実務では編集体制が強化されて作業がスムーズに進むようになったが、一層の充実が必要である。
県連の活動に役に立つ機関紙としての役割を果たせるようにする。
ホームページの抜本的な更新にも担当者を一人確保する。
財政活動について
旺盛な活動をすすめる上でそれには確実に経費が伴う。
県連の収入は会費と物資販売からの利益だけである。12年度は収支ほぼ同一であったが13年度の経常財政はマイナスとなった。情勢にみあった活動をするにはそれにふさわしい財政を保障しなければならない。現状の会員数のままでは会費からの収入増は望めない。14年度は人件費の100万円の増額が見込まれる。これを補ってなお旺盛な活動を展開するために収入を増やす対策を立てる必要がある。
まずどんな企画も財政計画を確実に立てることと同時に、経費削減を図る。収入を増やすためには、中国旅行の回数を増やす、栗、水餃子、カレンダーなど物資販売を増やすことである。
年度の収支報告は別表にて行う。