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県連・支部だより

在名中国人 新春座談会

「氷雪祭り」から烏龍茶まで“お国自慢”で盛り上がる

 新年おめでとうございます(一同「新年好!」)。

きょうは、私たち日中友好協会愛知県連で日ごろつながりのある在名中国人の若いみなさんにお集まりいただき、楽しいおしゃべりで日中友好新聞(県連版)の新年号を飾る「新春座談会」をと企画しました。

私・溝口も司会とともに発言に参加させてもらいます。では、出身地など自己紹介を。(司会者あいさつ)

       ◆座談会出席者◆
 沙 鑫(しゃ きん) 南山大院修士課程修了予定 
 盧 書傑(ろ しょけつ) 銀行員
 趙 悦(ちょう えつ) 機械設計技師
 史 榕茜(し ようせん) 名古屋大院博士課程修了
 王 来方(おう らいほう) 主婦

 司会 溝口 郷史 日中愛知県連副理事長 

――お互い初対面の人が多いようなので、県連版の紙面ではおなじみの沙さんから話の口火を切ってもらいます。

 初めまして。山東省煙台の出身で、母の勧めで高卒後すぐ来日しました。三重県の大学で学んだ後、南山大学の大学院(修士課程)にすすみ、春には就職の予定で内定ももらっています。

 福建省の出身です。6年前に来日して東京で運よく銀行に就職でき、昨年夏に名古屋に勤務が変わり、移ってきました。 

 大連から来て、東京で働いていたのですが、昨年1月に名古屋に移ってきました。仕事は工学系で機械設計をしています。

 ハルビンの出身です。中国では3年ほど内科(循環器)の医師として働き、日本で同じ研究を深めたいと考えて名大の大学院で学び直し、博士課程を修了しました。県連の中国語教室で講師も務めています。

 出身は浙江省です。来日して働いているとき日本人のパパと知り合い、結婚して、いまは主婦で1児の母です。

――みなさんが日本に来ることになった契機というか、どんなことから日本に関心を持たれたのですか。

 私はアニメです。女の子から見たら、キャラクターの発音がとってもかわいかったの。日本のアニメは水準が高いし、いま40代後半の人でも子どものころテレビの「鉄腕アトム」を通じて日本が好きになった、という人が結構いますよ。

 留学先を選ぶとき、悩んでいました。アメリカは銃が危ない、親のことを思うと、いざというとき日本は近いからいい。大学院を昨年3月卒業して、幸い銀行に就職できました。

 中国でじゃなく、日本で現地採用ですか?

 そうです。  

 わぁ、うらやましい…。私も銀行に入りたかったけど、情報もなかった。

 求人情報は手をつくして探せば、ありますよ。

 沙さんと同じでアニメです。子どものころ、「ドラえもん」「クレヨンしんちゃん」に夢中でした。それで、大連の日系企業に就職して…。

 きっかけはドラマ。両親が仕事で夜も妹と2人だけでいる時間が長く、8時〜9時台は日本のドラマが多かった。
 留学は当初、あまり考えてなかったんです。大学でアイウエオを勉強したけど、アメリカ、カナダなどと迷っていました。日本から帰ってきた人の話で、モノが精巧に作られているということを聞き、そこが〈知りたい〉と…。

 セイコー? 

 使う人の立場でモノが作られている、ということです。

溝口 史さんは2月に日本の医師国家試験を受けられます。

一同 すごい!

 私はアニメには興味がなかった。「改革開放」が始まり、モデルとされた日本の発展は“なぞの世界”でした。
 80年代の後半、台湾の祖父からみやげに日本製のカラーテレビをもらって、20年使ったものなのにきれいに映るので、すごいなと…。〈どういう国か確かめたい〉と来日して、静岡で日本語を学び、働きました。

 山東はいま韓国人がふえてきて、学生も韓国語を学ぶ人が徐々にふえています。

――みなさん一人ひとりきっかけは異なるけど、中国と日本の生活習慣の違いで困ったこと、日常の付き合いはどうされていますか。

 静岡で働いていた職場では、日本語が不十分でもみんな親切でした。名古屋はまた違った感じで、仲良しになるまでまだ時間がかかるし、心細い…。

 マンションの隣の人がどんな人なのか、分からないのが不安。  

難しい敬語やあいまい表現

 職場の銀行は、行き来するのは企業が対象ですから個人的な問題はないですね。生活習慣では、私は刺し身も食べるし、納豆も大好きです。

 私は、納豆はいまでも苦手。

 日本の肉食文化は近代に入ってからだもの。

溝口 そう、明治以降に。それでも、私たち勤労者の家庭の食卓に上がるのは鶏肉ぐらいで、牛肉を食べるようになったのは60年前ぐらいからですよ。

 困ることはたくさんありました。食べ物はたいてい平気ですが、社会生活のルールが、交通規則とか。いま一つは、日本語の表現で特有のあいまいな言い回しで、真意が分からないことがよくあります。気持ちが通じないというか…。

 中国でも最近、同じような言い方に出くわしますよ。夏に一時帰国したとき、友だちに「飲みにいこう」と誘ったのに「また、こんど」だって。これって、断っているんじゃないですか。 

 言葉遣いでは、敬語が難しい。職場で日本人の先輩にはとりあえず敬語で、と割り切っていますが。

日本の若者は気遣いしすぎないで

――日本の同世代の人たちに望むことや一緒にやりたいこと、いま一番やりたいと思っていることは何ですか。

 私の場合は、大学院で一緒にはやってくれない。興味を抱く焦点が違って、歴史認識もまるでないようですから。

 一時帰国したときも、ある集まりで“全員参加”じゃなかった。みんなが日本に関心を持っているわけじゃない。

 共通点、目的の一致で、旅行、ファッションとかがないと難しい。それと、気を遣いすぎないようにしてほしい。私自身は、直面している医師国家試験にパスすることが最大の課題です。

 中医(中国医学)も研究して、普及してほしい。西医(西洋医学)とは全く異なる考え方の医学体系で、数千年の歴史を有している療法なので。 

溝口 史さんの妹さんが北京の中日友好病院の中医のドクターをされていて、夏に第二外国語学院に語学留学に行ったときも、仲間がお世話になったりしています。

 西医と中医は、基本的な見方が違うんです。

 製薬会社が、研究の中で副作用があってモノにならない場合が多い。動物実験はそのまま人間にイコールじゃないのと、個人差もあるし…。

 西医は野蛮な面があるわよ。  

――日本はお正月ですが、中国も春節がもうすぐ、ことしは23日ですね。みなさんは故郷の春節をどんなふうに過ごされますか。

 学生時代、とにかく休みが長くなってほしかった。

 子どものころ、「改革開放」以前ですが、お年玉と新しい服が、とっても楽しみでした。1年のうち新しい服を買ってもらえるのはそのときだけなので。
 ハルビンは冬季には青野菜がないけど、春節には食卓が豪華になるから、それも嬉しかった。大みそかには、一族で集まって晩ごはんを食べます。

 浙江の春節は、お寺で仏様に参拝し、祖先の墓参をします。また、一家で天の神様に感謝してブタの頭と尻尾のお供えも。でも、親せき付き合いもだんだん簡素になってきました。

 福建の大みそかは、みんなで食事をし、テレビを見て、夜は花火がすごいです、魔よけに。

溝口 日本には「一年の計は元旦にあり」という言葉がありますが、みなさんは?

 学生は同じ習慣ありますね。非公開で、メモに年間の目標や計画を記したりします。

 習慣としてはないけど、友人で集まって向こう1年に何をしたいとか話すことはあります。  

――日本では“お国自慢”といって、都会人は折にふれて故郷の特色などを語りますが、みなさんの“お国自慢”はいかがですか。

 浙江省は有数の観光地で、省都の杭州は「上有天堂・ 下有蘇杭」(天に極楽あり、地に蘇州・杭州あり)と、地上の楽園に例えられるところです。霊隠寺や永福寺など寺院も多く、西湖、東湖はいつも観光客でにぎわっていますよ。

 ハルビンはロシア風の街並みが美しい異国情緒ふれる北の都です。冬の寒さは厳しく、マイナス20度から30度ぐらい。
 観光では「氷雪祭り」――春節のころ開催され、外国の芸術家も参加する――が有名ですが、さまざまなモニュメントは凍結した松花江から切り出した氷でつくられ、すべて中からライトアップされる夜には“夢幻世界”が現れます。

 山東は何があるかなぁ。世界遺産(複合遺産)で、中国五大名山の筆頭に挙げられる泰山が 「歴史・文化・自然のすべてを有する神秘の山」と称されています。
 伝統行事では、清明節に各地で凧揚げ大会があります。なかでも濰坊(いぼう)市では、1984年4月1日、市政府が外国人などの提言を取り入れて「第1回濰坊国際凧揚げ大会」を開催し、以来、年一回の世界凧揚げの大イベントがここで実施されています。色鮮やかな大凧が舞い競う光景は見事ですよ。
 食べ物では、やわらかくて塩辛い「魯菜」(山東料理)は明・清時代の宮廷料理で、北京料理のもとなんです。

 アカシアの街として知られる大連は、海産物の有数の産地で、海鮮料理もすてきです。いまも日本とのつながりが売り になっているし、日本人、それも若い学生やビジネスマンが多く住んでいます。

 福建省は南部を中心に台湾との経済関係が非常に緊密で、在住の台湾人もかなり多いです。福建料理がまた多彩だし、烏龍茶の生産地として、ことに武夷山で生産される武夷岩茶(ぶいがんちゃ)は代表格です。  

――最後に、日中友好協会について注文などをどうぞ。県連では、留学生や研修生の“困りごと・悩みの相談窓口”も設けたいと考えているのですが。

 2009年の金融危機で退職を余儀なくされたとき、餃子づくりの仕事もやりました。だから餃子を作るのは上手ですよ。そのようなとき、いま言われた相談所のような場があるといいですね。 

 東北は餃子の本場なのに、私は自分で作れなくて恥ずかしい。

 本題に戻ると、中国人同士が集まることはないです。インドの人などはよく集まっているけど、国民性の違いかな。上海人も集まっていますね。日中友好協会でサポートがしていただければ中国人も集まりやすくなります。

 きょうは楽しかった。私は運よく就職できたけれど、在日中国人で悩みを持っている人は多いし、相談窓口があれば助かります。

溝口 それでは時間も過ぎましたから、終わりとしましょうか。みなさん折角の休日に時間を割いて楽しく珍しいお話をいろいろ聞かせてくださって、どうもありがとうございました。

 多謝、多謝!
 再見!

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