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長春の旧建築を訪ねて(上)
今も各分野の機関が活用
初秋の午後、新京神社の鳥居を探しに出かけた。
中国では神道関係の建築物はすべて破壊された、そう思っていたが、どうもそうではないらしい。最近手に入れた『長春近代建築図鑑』(楊于編著2011年6月)の中に確かに鳥居がある。「市政府機関二園」の門として使われていたのである。
長春駅から真っ直ぐ南へ延びる人民大街に面した西側に幼稚園の門があるが、ここが旧新京神社の入り口で大鳥居があった場所である。『新京市街地図』(1939年)を見ると、その大鳥居をくぐって真っ直ぐ西に進むと更に鳥居がありその奥に本殿があったようである。
私は306路のバスで長春駅の一つ手前「長江路」まで行った。そこから少しばかり南に下ると長春中央郵便局がある。この建物は新京郵便局の建物で、現在は中国郵政の色、緑色に塗り変えられて使われているが、今でもとてもモダンな感じの建物である。
そのすぐ隣が満鉄図書館であった。長春に来た当初、歩いてここを通ったがまるで気づかなかった。それもそのはず、私が歩いたのは09年10月1日の国慶節で、長春文物保護単位「満鉄図書館旧跡」に指定されて説明版がついたのは、その年の11月2日であったからである。
満鉄図書館は1931年建設の平屋、一部地下室を有する500余平方メートルの小さな建物であるが、その後、裏手の東部分に拡張されたようである。この付近は人民大街から一本裏に入ると満州時代の住宅が数多く見られるが、どの建物も荒廃し取り壊される寸前のようである。もちろんいまだに人が住んでいるが、廃墟と言うべき家も多い。
長春在住 家田 修