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【09.11.25】最近の南京事件に関する二つの発言を論ず(下)古田 弘
最近の南京事件に関する二つの発言を論ず(下)古田 弘
中国近現代史専攻で南京事件(略称)の研究者でもある笠原十九司都留文科大教授は「中支那方面軍と支那方面艦隊による南京戦区大包囲網の中には南京防衛軍のほかに近郊区に100万以上の住民と難民がまだ居留し、南京城区には40〜50万人の市民および難民がまた居住し、避難していた」と指摘している。
犠牲者については、中国軍民の数を算定するのは不可能。だから南京事件は「まぼろし」ということにはならない。今後さらに資料が発掘されれば実数に迫っていける。推定できるのは10万以上それとも20万に近いかあるいはそれ以上をあげている。詳しくは「南京事件」(笠原著 岩波新書)に論述されている。
中国側の公称「30万人」説は、日本軍占領後武器を放棄した中国兵と市民を計画的に集団虐殺をおこなった。場所は南京城内と城外の広い農村に及び大規模集団虐殺による死体を埋めた現場を13か所特定している。
南京軍事裁判・東京裁判に提出された膨大な調査資料、証言、多数の生存者・目撃者の証言、旧日本軍の証言、外国人の記録、報告、証言、報道、犠牲者の遺体を埋めた中国紅十字会と慈善団体の記録報告、虐殺現場から発掘された大量の遺骨などを証拠としている。そして今なお調査記録が続けられている。
07年12月「南京大屠殺遇難同胞祈念館」がリニューアル・オープンされ規模を拡大した。