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県連・支部だより

頭を挙げて明月を望み 頭を低れて故人を思う

(挙頭望明月 低頭思故人)

 忘れもしない。18年前、日本に来た日のこと。たった一人で成田空港に降り立ったとき、さっきまでワクワク、ドキドキしていた気持ちが急に不安になった。

入国検査を終えて出口を出た。汗でくしゃくしゃになった地図を広げた。さて、どうやって名古屋ヘ行くか。考えるだけでどっと汗が噴き出した。日本語をしゃべれない、案内板の漢字だけ読めるが、理解できない。途方に暮れていたそのときに、「姜力」と大きく書いた看板が目に入った。「友人に頼まれて名古屋から迎えに来た」と、その人は流暢な中国語で説明してくれた。それが大橋さんとの初対面だった。

あれから18年。大橋さんは私の日本の父親のような存在だった。バイトを終えた寒い日に事務所に寄ると、温かいうどんをご馳走してくれた。家族からの手紙は大橋さん方から送ってもらっていた。いつも待ち切れずその場で封を開けて読みあさる私を、大橋さんはにこにこしながら見ていた。

進学したとき、就職したとき、悩むときも迷うときも、いつも大橋さんの貴重なアドバイスがあった。私のみならず、周りの留学生のみなが大橋さんの顔を見るとホッとしていた。 いつもパワフルで、どんな小さなことでも、どんな面倒なことでも真剣に耳を傾けてくれて、在日中国人の真の味方だった。中国茶の講座を立ち上げたとき、私は〈やっと少し恩返しができるようになるか…〉と快く受けた。

開講初日、いきなり商売道具のガラスポッ卜を割ってしまって、少年のように顔を赤くした大橋さんの様子を思い起こすたびに一人でにやりとした。

大橋さんの訃報を聞いたとき、そんな思い出の数かずが走馬灯のように脳裏に走った。もう大橋さんに会えないと思うと信じたくなかった。でもいまは、きっとあの方は常に近くのどこかで見守ってくれているに違いない、と十五夜の月を見上げながら思った。

姜 力  

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