日中文化交流

中国の旅

南京市毘蘆寺(びるじ)を訪ねて(下)

 毘蘆寺には、現在この千手観音像が帰って来た時のために、安置するための部屋が用意されています。今はこの千手観音像の写真があり、その写真に向かって毘蘆寺の僧は毎日読経しています。毘蘆寺の僧と私たち訪問団とが別室での懇談の折り、鳥居団長が毘蘆寺の僧に、今この毘蘆寺の仏像が日本に在る事の思いを伺ったところ、毘蘆寺の僧は、その事について何も語りませんでした。

  再建された楼門と元本堂跡地

 私が思うに、毘蘆寺側から「返して欲しい」と言う要求は「礼儀に反する」こととして受け止めているのだと思いました。たとえカイライ政権での不当な交換でも政府間が行ったことに対してあくまでも日本側(名古屋市側)の意向を尊重する立場の表明だと思いました。平和堂に納められている観音像の写真の前で、読経している毘蘆寺の僧たちや南京市民は、この仏像がきっと帰ってくる事を信じて、毘蘆寺の復興に力を注いでいます。

  毘廬寺で懇談する旅行団

 名古屋市と南京市は姉妹友好都市として大きく発展してきたはずです。日中友好協会愛知県連もその両都市の友好発展に多大な貢献をしてきました。

でも河村市長の「南京虐殺は無かったのではないか」という発言で、(近現代史研究の歴史家で南京虐殺事件を否定する研究者はいません。一部の評論家ではいますが)、今までの友好発展の両都市の努力が大きく後退しました。

河村市長には、歴史の問題を自分の感情で発言するのではなく、もっともっと歴史の勉強をして、近現代史の研究者の科学的研究の成果を踏まえたうえで友好発展に寄与するかたちでの発言を、両都市の市民は望んでいます。

 平和堂の千手観音像を南京市民の人たちや毘蘆寺の僧の願いをかなえることができるのは、まさしく名古屋市民の人たちにかかっています。河村市長発言の撤回はもちろんですが、名古屋市民の力で、名古屋市と南京市の友好親善大使として、この千手観音像を任命し、南京市へ一時帰国(里帰り)させてはどうでしょうか。

 観音像親善大使は大きな慈悲の心で、両都市の平和と友好の願いを叶えてくれると思います。

 「河村市長さん、あなたの責任ですぐにでも、出来る事です!」

日中友好協会愛知県連も、日中友好発展の一環として、平和的に千手観音像の一時帰国が実現できるように、これからも名古屋市長・名古屋市民・愛知県民に訴えていきます。

    日中愛知県連      松浦 均

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